「あいまい」

こんな晴れたひに
ふと呼吸をやめたいと思ってしまうのは
わすれたいからだと思います
(なにを?)
(なにかを。)

理由なんて
ことばなんて
それほど不確かなものはなくて
かたちに表そうとするぶんだけ、それだけ
たいせつなものはちぢこまってゆく一方です

だから
ぼくらは機会をまっているのでしょう
あの黄色いへびがしのびよる、
あっという間に足首にかみつく、
それに気づかないふりをして

いっぺん死んでみれば
重いからだを脱ぎすてて、
きれいな水がのめるのかしらって
もうもくてきに
しんじたままで

―こわいことなどありますか?
―いいえ、もうなにも!

ぼくはたぶん
にんげんであることを
わすれたいです

サン・テグジュペリ「星の王子様」へのオマージュ

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