「宝石」

けれど、
失われるものをとどめておくことなんて
それこそほんとにみにくいことだって
きみはもう気づいていたはずだ

ゆめ
まぼろし
その他もろもろのうつくしいものは
いつだって
容易にぼくらを苦しめられるほど
ひどく近くにまたたいているという、
そんな悲劇

だってほんとうは
だれよりもよく知っていたんでしょう、
消えゆくひかりのとうとさ
さびしくってむせび泣く夜に
ふと見上げた月が
宝石よりもうつくしいということ

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