「あの夜」

月のひかりの降る晩に
わたしはなぜだかそこにいて
ここは寒いと泣きながら
知らない海を見てました

おきざりの小さな部屋で
耳を塞いで研ぎ澄まし
翳りはじめたやさしい夜に
あの人の夢を見てました

雪解けのはじまりみたいに
ほほえみながら消えてゆく
やさしい腕をしたひとの
ひかる一瞬の蒸発の

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