「平行」

人の言葉をつかう相手もいなくなって
オレンジ色の
五反田。小さな失望。
いつか振り向かれなくなったら
何も感じなくなるでしょうか。
向かいたい場所と
逆さにしか歩けないんです。
平和の中に垂らされる
失望。
それだけ
海の波のあいだに
風車の羽の
顕微鏡の上の繊毛のその間
五反田に
人の心をつかう相手はいないと教えられる。

むかし世界は白黒で
狭くて
雨音の中それでも合図が聞こえていた。
人の言葉は目印だった。

20140304

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