「雨だれ」

ぬかるんだ道をゆくよ
波が往き来するだけの
さみしい

みずみずしい果実のよう
かつら尼そぎたるあの子と
いただいた
サラダは甘ったるくて
ぐにゃりと潰れて
溶けた

おそろしく近い灰色をくぐっては
黒猫のしなやかさで

野良犬のけだかさで
生きてゆこうとちかうのに

僕ら いつだって
神経に傘ひっかけて
びしょぬれで歩むしかできない

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