「シオン」

花を押した本を大事にしていた
レプリカが見つかんないと泣くので
明日のための虹をとうとう使ってしまった

ずっと迷う
何にもなれないよって子供の目で言うので
馬鹿だねと呟いて、けれど髪をなでてやる
いつか二人のごみみたいな陽だまり
君を泣かした
犯人はぼくです

傷口を舌でなぞって
それで望むならどんな毒でもあげますが

蛇口の開け方が分からなくて
干からびた水槽を前にも
やっぱり立ち尽くすばかりのぼくです
ばいばい

home(新窓)