「ハル」

春は曙
微熱ばかりくりかえす
やわらかな芽生えを憎めども
窓越しの視界は晴れない
しかるべき不幸を与えられない

泣かないの笑わないの
塵を集めた生物
愛された記憶を欲しては
したたかに身体を打ち付けている

優しくしたくないの
いつだって笑ってたいの

春は霞
今日この日のための献体
昨日よりうまく泳げるなら
お前と寄り添ったっていい
なんて

本当はもっと強いのでしょ
可哀そうな振りばかりするなら
もうさよならしようよ

080322

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