「東京タワーに」

目新しいものではないにしろ
たまの関心は遠視の世界にも色づけると言う
うまくいかないものごとに
多少の時間を費やして
地中を焦がしたくらいじゃ
もう全然見つからないってね

起きぬけの孤独が
住み慣れた星を一週間でほろぼした
その傷のことを
多くの人は「ファスナー」と呼んでた
煙草をすいながら二人が来る
彼らの行く先の地図を持ってる

息があがる
まだ遠いどこかの時間で彼は価値観に代わる
誰も気づかない
多くの種子を埋める
それぞれの計画された未来
まだ待っている
誰も気づかない
夢が醒めて育ちゆくものをまもる
彼らは大人のふりをする
時間
まだ止まない
誰も気づかない
春を超える暴力
いつか縁にこぼす想像力
まだ遠いどこかの時間に彼は価値観である
誰も気づかない
息があがる
ここに点る
息ができる
世界

20110608

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